事業承継とは

事業承継
会社の経営権を、後継者に引き継ぐこと

事業承継のなかでも、後継者に会社の事業を譲渡(売却)する場合と、
後継者が対象企業の株式を取得し議決権を獲得する方法の2パターンがあります。

事業譲渡(売却)の場合

人(経営権)の承継

会社の経営権と事業を運営するための人材を、後継者に引き継ぎます。後継者が取引先や従業員などから経営者として認めてもらえる様に、後継者教育が重要になってきます。

資産の承継

事業を行うために必要な資産として、運転資金や借入をはじめ、経営者個人が所有する株式、不動産や設備などの事業資産を、後継者に承継します。

知的財産の承継

それまでの経験や知識・技術・ノウハウ、取引先や金融機関との関係や、事業に対する想いなど、目に見えない会社の利益となりうる知的財産があります。

" 事業承継 "と" M&A "は
何が違うのか?

M&Aとは、事業や会社を第三者の企業へ売却することを意味します。
一般的に、事業承継の中で、第三者への承継の事を「M&A」と表現し、事業承継の一つの手法に該当します。
近年は、後継者不足の問題と国のM&Aの支援体制が強化されたこともあって、中小企業のM&A件数は増加傾向にあります。事業を拡大のためにM&Aを行うことも多く、買収された会社の経営者が、後継会社の取締役等に就任するなど業務を継続することもあります。

メリット・デメリット
事業承継の後継者を誰にするのか?

日本の中小企業では、経営者自身の能力や人柄が会社の強みや良さになっている場合が多々あります。
後継者を誰にするのか、その後継者を育てるのか、また、後継者に全てを託すのか…慎重に検討して選ぶ必要があります。

01

親族への承継

経営者の子ども等の親族への、事業継承です。
昭和、平成の当初は、事業承継のほとんどが親族間で行われていました。

メリット

  • 早い時期からの、後継者教育が可能に。
  • 社内外から、後継者として認めてもらいやすい。
  • 相続や贈与で、資産の承継が行える。

デメリット

  • 承継する親族がいない。
  • 後継者になる気がある、親族がいない。
  • 経営者としての能力や資質に、難がある場合も。
  • 後継者以外の相続人への配慮が、必要な場合も。

02

親族外の社内人材への承継

親族外の役員や、従業員への事業継承です。
従業員等への承継では、経営者の右腕を担ってきた役員、優秀な経営陣、工場長等の従業員等へ、
経営者としての能力のある人材を見極めて承継することができます。

メリット

  • 経営者としての資質・適性の見極めができる。
  • 業務を円滑に承継出来る。
  • 従業員の理解が得やすい。

デメリット

  • 後継者候補に、資金力がない場合も。
  • 適任者がいない。
  • 個人債務保証の引き継ぎ等に問題が起きる。
  • 経営者としての能力に、難がある場合も。

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第三者の承継(M&A)

外部の第三者への、事業継承です。
親族内や社内に適任の後継者がいない場合の、選択肢です。

メリット

  • 広く有能な人材や、資金のある後継者を探せる。
  • 後継者問題が解決する。
  • より強い事業基盤での成長が見込める。
  • 経営者の利潤の最大化も。
  • 個人保証や、個人資産の担保提供から解放される。

デメリット

  • 自力で相手を見つけるのが、難しい。
  • 経営方針が、買い手に委ねられる。
  • 社内文化やシステムの統合・引継ぎに、時間がかかる。
  • 利害関係者・従業員からの理解に、時間がかかる。

考え始める・実行するタイミング
事業承継をいつするのか?

事業承継には、後継者の選定や後継者の育成、業務の引継ぎなど、考え始めてから実行までに、10年程度を要すると言われています。
" 誰に・いつ・どのように " 事業承継するのかという方針の検討は、早いに越した事はありません。

業績が好調なうちに

業績な好調のうちに事業承継の検討をし始めれば、経営を後継者の立場から見て引き継ぎやすい状況を作る事が容易なため、スムーズに事業承継が行えます。また、企業の業績が好調のうちにM&Aを進めた方が、高額な売買価格で成立する可能性があります。

50~60歳を過ぎたら

年齢が上がるにつれて気力や体力が落ちてきます。健康面で問題が出てくるかもしれません。経営者自身が引退をしたい時期に事業承継の検討を初めても、その時には企業のピークは過ぎ、後継者探しに難航する場合が多く見られます。現経営者、後継者にとっても良い形で引き継ぐには早め早めの対応が必要です。

経営に限界を感じたら

事業承継は、自社の事業拡大のチャンスにもなります。新しい後継者の知識や経験、人手や設備・資金が入ってくることによって、今ある根本的な経営課題を解決する事も出来ます。グローバル化やIT化などの世界的な流れや、ビジネスの変化に対応できる環境を整えるための選択肢の一つとして考えることができます。

国のサポートを最大限に活用
事業承継の公的支援

日本の問題として、中小企業の後継者問題が上げられています。
円滑な事業承継や税金の負担軽減のための制度もございます。詳細については、弊社までお気軽にお問い合わせください。

01

事業承継ガイドライン

中小企業の経営者に事業承継の課題を知ってもらうための、中小企業庁が発行している事業承継について書かれた資料です。
事業承継の早期・計画的な取組を促すため事業承継診断や、円滑な事業承継の実現のため必要な5つのステップ等を示しています。


02

M&A支援機関登録制度

中小M&Aにおける支援機関の行動指針である「中小M&Aガイドライン」の遵守等を宣言した、支援機関を登録する制度です。


03

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・M&A後の新たな取組(設備投資、販路開拓等)、
M&A時の専門家活用(仲介・FA、デューデリ等)、事業承継・引継ぎに関連する廃業費用等を支援しています。


04

法人版事業承継税制

後継者が、経営承継円滑化法の認定を受けて、非上場会社の株式等を贈与・相続等により取得した場合、
その株式等に係る贈与税・相続税の納税が猶予等されます。


05

個人版事業承継税制

後継者が、経営承継円滑化法の認定を受け、特定事業用資産を贈与・相続等により取得した場合、
平成31年度税制改正の10年間の特例措置として、その特定事業用資産に係る贈与税・相続税の全額を猶予等しています。


06

経営資源集約化税制

経営力向上計画を提出・認定されたM&Aを行う際に、①設備投資減税(中小企業経営強化税制)
②準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用が可能です。


07

登録免許税・不動産取得税の特例

経営力向上計画を提出・認定された事業譲渡行う際に、土地・建物にかかる登録免許税・不動産取得税の軽減措置を活用できます。